audio-technica AT2020のレビューです。audio-technica AT2020は低価格ながらランキングでも人気のコンデンサーマイクで、その性能に驚きました。
ダイナミックマイクAudix i5を使って、アコースティックギターとベースを録音比較しています。
Contents
audio-technica AT2020の機能・特長
audio-technica AT2020はエントリークラスながら確かなスタジオ品質を実現したモデルで、明瞭度に優れているとされています。マイクの指向性は単一指向性です。
audio-technica AT2020の「単一指向性」とは?
audio-technica AT2020で採用されている「単一指向性」ですが、読んで字のごとく、単一指向性は、特定の方向を捉えやすい性質を持っています。マイクに備わっている振動板に対し、表側からも裏側からも音を拾うような仕組みになっています。
単一指向性に対し、「無指向性」のマイクは、音の大きさをストレートに捉える仕組みになっていて、振動板に対し表側だけ音を拾うような仕組みになっています。
ボーカル用など一般的なマイクは単一指向性がほとんどだと思います。無指向性は環境音を録るような用途で使われ流ことが多いです。
単一指向性のマイクは音源に対し、まっすぐに立てると自然な音が録れると思います。マイクと音源との距離が重要になってきます。
audio-technica AT2020の特徴、サイドアドレスコンデンサーマイクとは?
audio-technica AT2020の特徴はサイドアドレスコンデンサーマイクですが、こちらも読んで字のごとく、マイクの側面にマイクユニットが向いていて、側面から集音する形式のコンデンサーマイクです。
サイドアドレスコンデンサーマイクは録音帯域が広く、音の広がりを捉えることができます。
ダイナミックマイクとコンデンサーマイクは仕組みが違う
audio-technica AT2020で採用されているコンデンサーマイクは、以前比較したShure SM58、AUDIX i5で採用されているダイナミックマイクと仕組みが異なります。
ダイナミックマイクは、マイクの中の振動板が振動し、振動を電気信号に変換します。
コンデンサーマイクは、振動で変化した静電容量を電気信号に変換します。微妙な電圧の変化を捉えるので、ダイナミックマイクよりも感度が高いです。コンデンサーマイクは電極に電気を貯めなくてはならないので、コンデンサーマイクを動かすには、ファンタム(幻影、「わずかな」と言う意味)電源が必要になります。
audio-technica AT2020とAUDIX i5の指向特性と周波数特性
audio-technica AT2020の指向特性は、今回比較するダイナミックマイクAUDIX i5とあまり違いはありません。
(audio-technica AT2020)
(AUDIX i5)
以前比較したShure SM58とは指向特性が異なります。
audio-technica AT2020の周波数特性はAUDIX i5と異なり、10kHzを超えて20kHzでもフラットです。
(audio-technica AT2020)
AUDIX i5は150Hzと5KHzに山があり、音を取り込む帯域に癖があります。
(AUDIX i5)
audio-technica AT2020の音
audio-technica AT2020とAUDIX i5をアコースティックギターとベースで録音してみました。録音環境はBabyface Pro FSです。
アコースティックギターをaudio-technica AT2020で録音
アコースティックギターをAUDIX i5で録音
最初「えっ!?」と思いましたが、audio-technica AT2020と比較して「空気感」の違いを感じられると思います。audio-technica AT2020は多方向から音を捉えているせいか、クリアに感じます。
アコースティックギターをaudio-technica AT2020で録音2
音の違いをより感じられるよう、バラシのストロークとアルペジオで録音してみました。
アコースティックギターをAUDIX i5で録音2
ベースをaudio-technica AT2020で録音
エレキギターやベース、ドラムなどはダイナミックマイクで録音するのが定石とされていますが、あえてコンデンサーマイクでも録ってみました。
「立体感」「奥行き」の違いを感じられると思います。
ベースをAUDIX i5で録音
やはりAUDIX i5よりも、audio-technica AT2020の方が音の広がりを感じます。逆にAUDIX i5の方はタイトな音のように感じます。
audio-technica AT2020で録った音をミキシング
audio-technica AT2020で録ったアコギの音とAUDIX i5で録ったベースの音を使ってミックスしてみました。音はStudio Oneのプロ版にあるコンプとEQで整えています。
ドラムはEZdrummer2に入ってあるサンプルMIDIを乗せています。
EZdrummer2は癖のないリズムデータが入っているので便利です。
ベースはaudio-technica AT2020で録った音はレンジが広すぎてしまい、ミキシングしてもアコギと帯域が被り音のまとまりがなく、AUDIX i5で録った音を使用しました。
やはり、ダイナミックマイクとコンデンサーマイク、用途に応じて使い分けるのがよさそうです。
audio-technica AT2020の外観
audio-technica AT2020のサイズは、
- 横幅が16cm
- 縦幅が5.2m
です。
重量は345gと、iPad miniよりも少し重いぐらいです。軽く手に取れる感じだと思います。
audio-technica AT2020の利用シーン
audio-technica AT2020の主な利用シーンは、ボーカルのレコーディングが挙げられると思います。
ボーカルレコーディングにはポップガードがあると便利です。息で発生する音をカットするだけでなく、唾からマイクを防いでくれます。
コンデンサーマイクは構造的にデリケートな機材なので、取り扱いには注意を払う必要があります。
実際、audio-technica AT2020で録音してみて感じたのですが、高感度すぎるので、ノイズもかなり拾ってしまいます。
レコーディング時のノイズカットにも限界があるので、iZotope RX Elementsのような優秀なノイズ除去プラグインを利用するのもよいかと思います。
audio-technica AT2020まとめ
audio-technica AT2020とAUDIX i5をそれぞれ音を録って比較してみましたが、ダイナミックマイクとコンデンサーマイクでは音の傾向が全く違い、驚きました。同じマイクというジャンルとはいえ、「別物」として考えた方がよさそうです。
ボーカルやアコギなど生っぽい音が必要な時はコンデンサーマイク、エレキギターやベース、ドラムをタイトに録る時はダイナミックマイク、と、用途に応じて使い分けた方が作る曲のクオリティも上がると思います。
audio-technica AT2020は最も安価なコンデンサーマイクの部類なので、コンデンサーマイク最初の一本としておすすめできると思います。