Electro Harmonix SYNTH9ギターシンセの実機レビューです。SYNTH9はどこまでライブで使えるのか、往年の名曲をギターで弾いてみました。
Electro Harmonix SYNTH9とBOSS SY-1の比較もあります。
Contents
- 【実機レビュー】ギターシンセBOSS SY-1はどこまで実戦で使えるのか。利用シーンで考えてみる。
- 【実機レビュー音つき】FREE THE TONE ARC-53M 高性能スイッチャーの使い方
- 【実機レビュー】エフェクター固定にマジックテープとかいつの時代よ?エフェクターはMusladyペダルボードで挟み込め
Electro Harmonix SYNTH9の特長
Electro Harmonix SYNTH9はアナログシンセの名機をシミュレートしたエフェクターで、SYNTH9の名前の由来の通り、miniMOOGやProphet-5など9種類の音色を選ぶことができます。
音色は
- OBX: Oberheim OB-X
- PROFIT V: Sequential Circuits Prophet-5
- VIBE SYNTH
- MINI MOOD: MOOG miniMOOG
- EHX MINI: electro-harmonix Mini Synth
- SOLO SYNTH
- MOOD BASS: Mini Moog、Taurus
- STRING SYNTH: ARP ODYSSEY
- POLY VI: KORG Polysix
です。
往年のアナログシンセ音源と、エレハモのオリジナル音源を選べます。
エフェクターをONにすると中央の赤いLEDが眩しく光ります。
Electro Harmonix SYNTH9の操作方法
Electro Harmonix SYNTH9の接続は簡単です。
アンプには左のSYNTH OUTPUT、ギターは右のINPUTを接続します。
DRY OUTPUTは、素のギターの音を出します。
つまみは左から順に
- DRY VOL
- SYNTH VOL
- CTRL1
- CTRL2
と、BOSS SY-1よりもシンプルです。
BOSS SY-1の場合、音色が120以上もあるため、つまみが二段になったりと操作に少々慣れが必要です。
SYNTH9のCTRL1とCTRL2は、選ぶ音によって機能が異なります。
- OBX: CTRL1トーン、CTRL2オクターブ(4)
- PROFIT V: CTRL1エンベロープ時間、CTRL2オクターブ(5)
- VIBE SYNTH: CTRL1ハーモニクス、CTRL2ビブラート
- MINI MOOD: CTRL1ポルタメント、CTRL2ポルタメント時間
- EHX MINI: CTRL1エンベロープ時間、CTRL2オクターブ(4)
- SOLO SYNTH: CTRL1トーン、CTRL2オクターブ(4)
- MOOD BASS: CTRL1フィルター時間、CTRL2オクターブ(3)
- STRING SYNTH: CTRL1トーン、CTRL2フィルターアタック時間
- POLY VI: CTRL1トーン、CTRL2モジュレーション深さ
Electro Harmonix SYNTH9は、シンセの美味しいところだけを設定できるようになっています。逆に言えば、音色を細かく追い込んで作り上げることには向いていないかもしれません。
ライブで音色を切り替える場合、あらかじめスマホで写真を撮っておくと、設定を呼び出す時に便利だと思います。
Electro Harmonix SYNTH9を設定する
Electro Harmonix SYNTH9は、普通のエフェクターのようにシールドを通すだけで鳴ります。
BOSS SY-1と同じく、専用ピックアップは不要です。
Electro Harmonix SYNTH9をうまく鳴らすにはコツが必要です。シングルコイルのリアでトーンは最大にすると、音が曇らず、綺麗に鳴ります。
ハムバッカーだと、音が少々太すぎて感じるかもしれません。
Electro Harmonix SYNTH9にはあらかじめコンプレッサーが内蔵されているので、数珠繋ぎのエフェクターボードでは、先頭にSYNTH9を設置する必要があります。
エフェクターの接続順には注意が必要です。
Electro Harmonix SYNTH9を出る音の傾向や遅延など
Electro Harmonix SYNTH9から出る音のうち、巻き弦の方が音はクリアに鳴ります。プレーン弦の場合、音が細くなる傾向にあります。
また、12フレット以降のハイフレットの場合、音が細く、多少耳障りになるかもしれません。
Electro Harmonix SYNTH9もBOSS SY-1と同じくレイテンシーは多少感じるので、慣れが必要かと思います。また、速い演奏よりも、全音符を鳴らすような演奏に向いているかと思います。速弾きは厳しいです。
Electro Harmonix SYNTH9は内蔵コンプレッサーが効いているせいか、BOSS SY-1と比較して、単音、コード、どちらもよく鳴ります。
Electro Harmonix SYNTH9の音色を有名的な曲で紹介
Electro Harmonix SYNTH9を音色ごとに有名な曲で録音してみました。演奏は下手なのでご了承ください。
レコーディング環境は、
です。
1.OBX: Europe – The Final Countdown
SYNTH9はデジタルシンセではないので、FM音源やPCM音源のような金管っぽい音はどうも苦手なようです。
2.PROFIT V: YMO – 1000 Knives
「千のナイフ」のイントロの重厚感は再現できているんじゃないかと思います。
3.VIBE SYNTH: YMO – Absolute Ego Dance
「ウニョウニョ感」が出せます。
4.MINI MOOD: Emerson, Lake & Palmer – Karn Evil 9
SYNTH9のminiMOOG音はよく調整されていて、ポルタメント感も出せます。
5.EHX MINI: Kraftwerk – The Robots
「アシッド感」も出せます。
6.SOLO SYNTH: aha – Take On Me
1.OBXと同じく、SYNTH9はデジタルシンセではないので、金管っぽい音は苦手のようです。
7.MOOD BASS: Michael Jackson – Thriller
シンセベースは得意かもしれません。
8.STRING SYNTH: Elton John – Rocket Man
高音は15フレット付近を弾いているので、音が細いですが、ふにゃっとした雰囲気は出せているかと思います。
9.POLY VI: TranceTechno
KORGポリシックスの曲ネタが思いつかなかったので、適当にトランステクノにありそうなフレーズを弾いてみました。雰囲気は感じられるかと思います。
Electro Harmonix SYNTH9の外観
Electro Harmonix SYNTH9は、エレハモのエフェクターによくあるボックスサイズに収まっています。サイズは縦12cm、横10.4cm、高さ5.4cmです。
オモテ面のデザインは、MiniMOOGっぽいシンセをあしらったデザインがいい感じです。
重量は約360gで、iPadminiより少し重いぐらいです。
Electro Harmonix SYNTH9には200mAのACアダプターが付属しますが、9V電池でも動作します。指定以外のACアダプターは故障の元になるので使わない方がよさそうです。
Electro Harmonix SYNTH9はデジタルエフェクターではなくアナログエフェクターなので、パワーサプライで接続した時にアナログエフェクターと混在させても、おそらくノイズ混入は少ないと思います。
Electro Harmonix SYNTH9の利用シーン
Electro Harmonix SYNTH9はキーボード不在のバンドで、シンセがないと曲の雰囲気が出せない時には効果的だと思います。
BOSS SY-1と比較して、Electro Harmonix SYNTH9は往年の名曲再現、BOSS SY-1はオリジナルな個性を出したい時に向いていると思います。
また、DTM用途なら、やはりソフトシンセの方が細かく音調整ができるので、素直にソフトシンセを使った方がいいと思います。
Electro Harmonix SYNTH9まとめ
Electro Harmonix SYNTH9で、9つの音色ごとにシンセのフレーズを録ってみました。得意不得意な音はあるものの、アナログシンセの醸し出す雰囲気は十分感じられるかと思います。
ライブで演奏する曲でシンセの音が必要な場合、Electro Harmonix SYNTH9はアリだと思います。
「飛び道具」としても十分使えるので、変化を入れたい場合、「おおっ!」と注目を浴びることができると思います。