Universal Audio Apollo Twinのレビューです。久しぶりに理想的なオーディオインターフェイスに巡り会えたので、シリーズ3製品の比較と互換性に注目しながらレビューしたいと思います。
- Steinberg UR22mkII オーディオインターフェイス
- ZOOM UAC-2 オーディオインターフェイス
- Focusrite Scarlett 2i4 オーディオインターフェイス
- UR22,US-366,UA-55,UCA202,Scarlet2i4,UAC-2の比較結果と総合評価
Contents
Universal Audio Apollo Twinは初心者向け(?)とは一線異なる
高級オーディオの世界と同じく、オーディオインターフェースの価格の違いは、基盤や乗っているコンデンサーや搭載されているDSPになります。スペックが24bit/192kHzでも、価格が異なるのはそこにあります。
Universal Audio Apollo Twinには、UAD-2 SOLO または DUO コアプロセッサーというDSPアクセラレーター・ハードウェアが搭載されています。UAD-2 DSPがざっくり何かというと、グラフィックボードのメモリのようなもので、高性能なグラフィックボードであればあるほど、オンライン3Dゲームが繊細で綺麗にサクサク動く原理と同じです。
オーディオのアナログな感じを表現するには大量の計算処理能力が必要、処理に特化したDSPがUAD-2、というわけです。
また、Universal Audio Apollo Twinでは、UAD-2を活用したプラグインが充実しています。
ユニバーサルオーディオの公式サイトによると、
Ampex、Lexicon、Neve、Moog、SSL、Studer等*、数々の受賞歴を誇るUADプラグインにより、Apollo Twin USB が本物のアナログのトーンと暖かみを提供
とあり、現在約60のプラグインが発売されているそうです。Universal Audio Apollo Twinの凄いところは、それらを自由に使えるところにあります。
プラグインの豊富さは、一般的なオーディオインターフェイスとUniversal Audio Apollo Twinが一線異なるところだと言えると思います。
Universal Audio Apollo Twinで使えるUADプラグイン
Universal Audio Apollo Twinで使えるプラグインのうち、無償バンドルされているものは、
- Amp Room Essentials (“Amp Room Half-Stack” と “Bass Amp Room 8×10”)
- Raw Distrotion
- Teletronix LA-2A Classic Leveling Amplifier (Legacy)
- 1176SE/LN Classic Limiting Amplifiers (Legacy)
- Pultec Pro EQ (Legacy)
- RealVerb-Pro
- Precision Mix Rack コレクション
- 10-B チューブプリアンプ & EQ プラグイン
です。そして有償で販売しているものを全部リスト化してみると
プラグイン・バンドル
- Manley® Complete Bundle
- Classic FX Bundle
- Ampeg® Heritage Bass Amp Bundle
- Marshall® Legends プラグイン・バンドル
- Ampeg® Bass Amplifier プラグイン・バンドル
- Tube-Tech® プラグイン・バンドル
- Distortion Essentials プラグイン・バンドル
- ENGL® Amplifier プラグイン・バンドル
- Magnetic Tape プラグイン・バンドル
- Softube® Amp Room Bundle
- Precision Mastering プラグイン・バンドル
- EMT® Classic Reverb プラグイン・バンドル
- SSL 4000 Series Console プラグイン・バンドル
- Classic EQ プラグイン・バンドル
- Neve® Classic Console プラグイン・バンドル
- Neve® Complete プラグイン・バンドル
コンプレッサー & リミッター
- Tube-Tech CL 1B Compressor プラグイン
- Manley Variable Mu Limiter Compressor プラグイン
- Vertigo Sound VSC-2 Compressor プラグイン
- Summit Audio TLA-100A Compressor プラグイン
- Fairchild Tube Limiter Plug-In Collection
- Teletronix® LA-2A クラシックレベラーコレクション
- 1176 Classic Limiter プラグイン・コレクション
- SSL G Series Bus Compressor プラグイン
- dbx® 160 Compressor / Limiter プラグイン
- Fairchild® 670 Compressor プラグイン
- Teletronix® LA-3A Classic Audio Leveler プラグイン
- Neve® 33609 / 33609SE Compressor プラグイン
- Precision Buss Compressor プラグイン
- Teletronix® LA-2A Classic Leveling Amplifier プラグイン
スペシャル・プロセッシング
- Sonnox Oxford Envolution プラグイン
- Oxide Tape Recorder プラグイン
- Thermionic Culture Vulture Plug-In プラグイン
- Valley People Dyna-mite™ プラグイン
- Little Labs® Voice of God Bass Resonance プラグイン
- Ampex® ATR-102 Mastering Tape Recorder プラグイン
- FATSO™ Jr./Sr. Tape Sim. & Compressor プラグイン
- Studer® A800 Multichannel Tape Recorder プラグイン
- SPL® Vitalizer MK2-T プラグイン
- Precision De-Esser プラグイン
- Precision Enhancer kHz プラグイン
- Precision Enhancer Hz プラグイン
- SPL® Transient Designer プラグイン
- Moog® Multimode Filter / Multimode Filter SE プラグイン
- Little Labs® IBP Phase Alignment Tool プラグイン
リバーブ
- AKG® BX 20 Spring Reverb Plug-In
- AMS RMX16 Digital Reverb Plug-In
- Ocean Way Studios Plug-In
- EMT® 250 Classic Electronic Reverb プラグイン
- Lexicon® 224 Digital Reverbプラグイン
- EMT® 140 Classic Plate Reverberator プラグイン
- DreamVerb Room Modeler プラグイン
イコライザー
- Tube-Tech® EQ Collection
- Tonelux® Tilt EQ プラグイン
- Massenburg DesignWorks® MDWEQ5 Parametric EQ プラグイン
- Dangerous BAX EQ プラグイン Collection
- API® 500 シリーズ EQ コレクション
- Sonnox® Oxford プラグイン
- Brainworx bx_digital V2 EQ プラグイン
- Manley® Massive Passive EQ プラグイン
- Trident® A-Range Classic Console EQ プラグイン
- Pultec Pro EQ プラグイン
- Harrison® 32C / 32C SE Channel EQ プラグイン
- Neve® 1073 / 1073SE Classic Console EQ プラグイン
- Neve® 1081 / 1081SE Classic Console EQ プラグイン
- Neve® 31102 / 31102SE Classic Console EQ プラグイン
- Cambridge EQ プラグイン
- Helios® Type 69 EQ プラグイン
マスタリング
- Chandler Limited Curve Bender Mastering EQ
- Sonnox Oxford Limiter v2 プラグイン
- Brainworx bx_digital V3 EQ プラグイン・コレクション
- Vertigo Sound VSM-3 Mix Satellite プラグイン
- Brainworx bx_refinement プラグイン
- Sonnox® Oxford Inflator プラグイン
- Shadow Hills Mastering Compressor プラグイン
- K-Stereo Ambience Recovery プラグイン
- Precision Multiband プラグイン
- Precision EQ プラグイン
- Precision Limiter プラグイン
- Precision Maximizer プラグイン
ディレイ&モジュレーション
- Eventide® H910 Harmonizer プラグイン
- Galaxy Tape Echo プラグイン
- Studio D Chorus プラグイン
- Brigade Chorus Pedal プラグイン
- Cooper® Time Cube Mk II Delay プラグイン
- EP-34 Tape Echo プラグイン
- MXR® Flanger/Doubler プラグイン
ギター&ベース
- Fender ’55 Tweed Deluxe
- Ampeg® B-15N Bass Amplifier プラグイン
- Marshall JMP 2203 プラグイン
- Marshall® Silver Jubilee 2555
- Marshall® Bluesbreaker 1962 プラグイン
- Marshall® Plexi Super Lead 1959
- Ampeg® SVT-VR Bass Amplifier プラグイン
- Ampeg® SVT-3 Pro Bass Amplifier プラグイン
- ENGL® E765 Retro Tube プラグイン
- ENGL® E646 VS Limited Edition プラグイン
- Brainworx bx_tuner
- Softube® Vintage Amp Room プラグイン
- Softube® Bass Amp Room プラグイン
- Softube® Metal Amp Room プラグイン
チャンネルストリップ
- UA 610 Tube Preamp & EQ プラグイン Collection
- API Vision Channel Strip プラグイン
- SSL E Series Channel Strip プラグイン
- Neve® 88RS Channel Strip プラグイン
- Precision Mix Rackコレクション
- Unison Preamps & Channel Strips
- Manley® VoxBox Channel Strip プラグイン
- Neve 88RS Channel Strip Collection
- Neve 1073 Preamp & EQ プラグイン Collection
- UA 610 Tube Preamp & EQ プラグイン Collection
- API Vision Channel Strip プラグイン
と、使いきれないぐらい非常〜に豊富にあります。私は、マーシャル、ENGL、フェンダー、SSL、Neve、Moog、Lexiconぐらいしかわかりません(本当は一個づつちゃんと紹介したかったのですが、勉強不足ですいません)。
有償プラグインは1個99ドルから800ドルまでなので、無償バンドル版で慣れた後に拡張していくようなことができます。
要はUniversal Audio UADプラグインも、NativeInstrumentsやIK Multimediaと同じ、「プラグイン買ってね〜ビジネスモデル」なのですが、Universal Audioの場合は著名メーカーと共同開発ということで、高品質なのと、オーディオインターフェイスで高級アナログ機材をエミュレーションできることが画期的だと思います。
Universal Audio Apollo Twinのインターフェイス
Universal Audio Apollo Twinのインターフェイスはコンパクトな外観です。
アナログ入力がマイク/ライン兼用 x2、Hi-Zイン x1、アナログ出力がモニターアウト 1 & 2/ラインアウト 3 & 4、ヘッドフォンアウト x1、デジタル入出力がS/PDIFとADATオプティカルといった構成になっています。
私がUniversal Audio Apollo Twinで一番気に入っているのは、本体左下にギターのシールドを刺せる入力があることで、ちょっと仮にフレーズを録りたいと思った時にギターを挿せば直ぐレコーディングできてしまいます。
また、Universal Audio Apollo Twinは、中央にボリュームノブ、左右にボリュームメーターが配置されていて、非常にわかりやすいです。また、斜めに傾いているので操作しやすいと思います。
ほか、Universal Audio Apollo Twinのサイズは横15cm ×縦幅 5.7cm ×奥行 15.2cmとコンパクトで、重量は1.05 kgとMacBookAir程度の重さです。練習スタジオにも気軽に持ち込めます。
Universal Audio Apollo Twin SoloとDUOの違い
Universal Audio Apollo Twin SoloとDUOの違いですが、UAD-2プロセッサーが1個と2個の違いになります。2個搭載されていると、その分多くの処理ができます。重いプラグインを複数重ねて再生すると、PCが固まる原理と同じです。
音質には違いはありませんが、この手のプラグインは重く、動作が安定しないことが多いので、予算が許せるなら、余裕のあるDUOがいいんじゃないかと思います。
Universal Audio Apollo Twinの互換性、今後のUSB-C対応を見据えた購入を
Universal Audio Apollo Twinは、Thunderbolt版とUSB版があります。MacならThunderbolt版、WindowsならUSB版、といったような構成のようですが、Thunderbolt版もWindowsで動作するみたいです。
すでにご存知かと思いますが、2016年の新型MacbookProにはThunderbolt端子が廃止され、すべてUSB-Cになりました。そこでUniversal Audioでは推奨の変換アダプターが紹介されています。
- Startech Thunderbolt 3 to Thunderbolt Adapter
- Kanex Thunderbolt 3 to Thunderbolt Adapter
- Apple Thunderbolt 3 to Thunderbolt Adapter
過去にも比較的高級なオーディオインターフェイスには、USB接続でなく、FirewireことIEEE1394を使った製品が多かったのですが、Firewireが廃れてしまった今では、変換コネクターを探してもなかなかありません。
USBと比較して、Thunderboltはマイナーな規格なので、需要と供給の関係でなんだかんだでThunderboltからUSB-Cに変換するケーブルの発売はあまり期待できなないと予想しています。家電量販店に行くとUSB-Cが予想以上に売られているので、一度お店を覗いてみるとご納得いただけるかと思います。
と言いつつも、Universal Audio Apollo Twinは高性能な製品なので、今後USB-C版が発売される可能性は大ですが、USB-C版が発売され、現行製品が安くなった時にゲットして変換ケーブルで対応させるのが一番お得かもしれません。
Universal Audio Apollo Twinのまとめ
Universal Audio Apollo Twinは、単純にレコーディングするだけでは何か物足りない、もうワンランク上のレコーディングに挑戦してみたい方にオススメだと思います。
「有名な高級ミキサーやコンプレッサーをエミュレートした〜」と言っても、ぶっちゃけ有名スタジオのレコーディングエンジニアでもない限り、高級機器を使うことはないと思う(!)ので、有名無名にかかわらず、Universal Audio Apollo Twinを使って、プラグインをいじり倒してクリエイティブなレコーディング実験をしたほうがカッコイイと個人的に思います。